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歌舞伎関係 アーカイブ

2009年04月25日

【訃報】市川升寿さん逝去

 歌舞伎俳優(名題)の市川升寿さんが昨日、亡くなられました。十一代目團十郎から当代の海老蔵まで三代に渡って成田屋を支えられられた名脇役でした。さみしい限りです。

 ファンであったためか、杉村春子を思わせる雰囲気もありましたが、舞台に出ているだけで江戸前が香ってくるようなきりりとした女形さんでした。お名前を知らない方でも、当代の團十郎や海老蔵の舞台を見ていれば後見に出られていた升寿さんの姿は必ずご覧になっていたはずですし、『三人吉三』で“三人夜鷹”の喧嘩で一番性格がキツそうな夜鷹を演じていた升寿さんを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

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2009年04月29日

TBS『情熱大陸』5月3日放送は菊之助

 本年3月の『十二夜』ロンドン公演へも寺嶋一家と成田からANA便で同行した『情熱大陸』取材班、数年前に取り上げられた姉の寺島しのぶに続き、今度は尾上菊之助を追いかけ、5月3日に放送されます。昨年秋ごろから取材していたらしく、予告で見ると、昨年10月歌舞伎座の三千歳(『入谷寮』)の舞台、お正月風景をはさんでロンドン公演などを取材したようです。

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2011年10月24日

辰巳くんがいなくなった菊五郎劇団

 先日、国立劇場で十月歌舞伎公演、『開幕驚奇復讐譚』を観ました。

 菊五郎劇団の通し狂言ですから、もちろん立ち回りもありました。その立ち回りに夏、自殺未遂で重体と報道され、その後、亡くなられた尾上辰巳くんの姿は、残念ながら、ありませんでした。

 おそらくここ10年くらいしか舞台で拝見していない辰巳くんですが、菊五郎劇団の芝居で彼が捕り手などの1人として登場しないと、こんなにポッカリと穴が開いてしまうのかと、愕然としました。

 菊五郎が何歳になろうと、何度弁天小僧を演じようと、稲瀬川の場面で捕り手のリーダーの音吉さんがいて、屋根上には菊十郎さんが登場して、『三人吉三』の陰の声はいつものあの人で、と劇団芝居が好きな身には、あんなに若くして舞台からひょっこりいなくなる役者がいることが、こんなにさみしくて、切ないものかと…。

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2012年02月02日

武智歌舞伎を知る手がかり ― 岡本章・四方田犬彦 編『武智鉄二 伝統と前衛』

 歌舞伎好きであれば「武智歌舞伎」について多かれ少なかれ、どんなものだったのだろうか、と気になるものではないでしょうか? 目にするわりには実態が分らない上に「武智歌舞伎」と関連づけて語られる中村富十郎、中村雀右衛門、坂田藤十郎が「武智歌舞伎」について語っている活字を個人的にはほとんど見かけたことがなかったため、岡本章・四方田犬彦 編『武智鉄二 伝統と前衛』は、ようやくたどり着いた「武智歌舞伎」の残り香とも呼べる貴重な読み物です。

残念ながら、今回も「武智歌舞伎」の舞台の写真などはひとつも掲載されていませんが、富十郎や藤十郎による貴重な証言が収めれているのはうれしいことです。特に富十郎の証言は亡くなる半年前のことだそうです。

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2012年02月05日

片岡秀太郎・著『上方のをんな』

女形が好きで、女形らしい女形の一人者といえば片岡秀太郎と思っておりますので片岡秀太郎・著/坂東亜矢子・構成『上方のをんな 女形の歌舞伎譚しばいばなしを読みました。

秀太郎さんの正直な言葉の数々に驚きながらも、改めて「芸」は人柄でもあるのだと感じました。

同時に、秀太郎さんのご自身のことまでも客観的な視点から見ることができる能力には、ひたすら感嘆するばかりでした。歌舞伎俳優じゃなかったら演出家として成功していたに違いない、と思ってしまいましたが、以前テレビで拝見した松竹上方歌舞伎塾の講師ぶりからすると、次世代の若い歌舞伎俳優の「演出」は既に得意とされる分野であることは間違いないようです。

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2012年02月07日

『三島由紀夫と歌舞伎/三島由紀夫研究 (9)』鼎書房・刊

鼎書房から刊行されている松本徹・ 佐藤秀明・ 井上隆史の三氏が「責任編集」者となっているシリーズの『三島由紀夫と歌舞伎/三島由紀夫研究 (9)』を読みました。

冒頭の国立劇場・織田紘二氏と責任編集者らとの「座談会」が非常におもしろくて、時間が経つのを忘れたくらいです。織田さんといえば、三島由紀夫が書いて国立劇場で初演された『椿説弓張月』には執筆段階から関わっていたためNHKの番組も含め、三島との歌舞伎制作秘話などは得意(?)とするところですが、この本の対談は本物の演劇関係者の秘話です。この研究書でさえ、ところどころ、あえて活字にしなかった発言があろうことがぷんぷん匂いってきますが、織田さんの立場が変化したこともあるのでしょう。演劇関係者ならではのドロドロした秘話が展開されています。

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2012年02月23日

中村雀右衛門、本日午後永眠

以前より入院されていた東京・中央区の某総合病院にて中村雀右衛門さんが亡くなられました。

本当に悲しいです。

波乱の人生で、気遣いも相当だったでしょうから、そういったしがらみのない世界へ行かれるよう祈りたいと思います。

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2012年06月05日

澤瀉屋の新しい門出

 昼の情報番組までが注目する澤瀉屋の襲名披露興行、香川照之の市川中車襲名が一番の注目とはいえ、珍しい三代襲名披露興行。やろうと思ってできることではありません。高麗屋がもうちょっとしたら30数年ぶりにできるかもしれないとはいえ、事件やスキャンダルではなく歌舞伎が注目されることはうれしいことです。

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2013年02月02日

富田鉄之助・著『錦を着た乞食人』

 1978年出版の富田鉄之助による『錦を着た乞食人ホカイビト—被差別歌舞伎論』という絶版本が図書館にあり読んでみました。江戸時代の幕府による政策や厳しい身分制度から明治の文明開化、そして現代(昭和)まで、歌舞伎という芸能がどのように政府・為政者によってその内面的な質を変化させられてきたという歴史論を扱った読み応えのある本です。そして、ここまで読めない漢字、初めて見る漢字が多い本もはじめてで、少々はずかしい思いもしております。

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2013年04月04日

【創作】ショート浄瑠璃●中村棘蔵バス籠城の段

『女性セブン』最新号(2013年4月18日号)掲載「海老蔵あ然!大物役者バス籠城事件-銀座パレードの裏で」を読んで、創作としてショート浄瑠璃をこさえてみました。あくまでフィクションです。名称等は実在の人物・団体とは関係ありません。平成25年4月となった現時点では不適切な表現もありますが、先月当時のオリジナリティを尊重し、そのまま掲載いたします。

 内容もビックリですが、時蔵がいつから「大物役者」になっていたのか、驚きました。

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〽雨の降る 銀座の通りを 歌舞伎座再開場 祝いて役者が練り歩く 予定時刻になれども始まらぬ 往来集まる人々は まだ始まらぬと 不審なり

〽司会者・時光「しばらくお待ちを」と云うなれど 傘をさしたる人々に 冷たき雨は降りしきる

〽若き役者は傘ささず 見物人の前へ出る 支度を整えしも バスの中から出ようとせぬ 役者がひとり萬屋坊ちゃん中村棘蔵。会社の者へ 悪態 罵詈雑言。

棘蔵「これ岡咲、阿部子。なんぞこのような雨の中、わたしが傘もささずに外へ出て、風邪でも引けとも云うのかえ。けったくそ悪うて、ヘソで茶でも沸かして呑んでみるわいな」

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2013年06月05日

松竹映画部門、ここまで落ちぶれたか…『歌舞伎クラシック』

 先ほど、届いて放置してあった『ほうおう』誌を見てビックリ! 主に昭和の頃、NHKが劇場中継として放送した歌舞伎の映像を映画としてカネ取って見せる『歌舞伎クラシック』を東京・東劇限定で公開するそうな。

 言い訳(こじつけ)は「第四期歌舞伎座で見せた至高の芸」(同プログラム宣伝チラシより)を見せるためだそうですが、意味不明です。昭和のテレビ画質のものを、大画面に映して見せるのが「映画」なんでしょうか? しかもその多くはDVDとして発売済みのもの。富十郎さんと雀右衛門さんが大事に再演を重ねた『二人椀久』だって、平成9年のもので、ジャックが既に往年の動きがちょっとだけ難しくなってきてからのものだし、NHKにはお二人の『…椀久』のハイヴィジョン収録版だってあるだろうに、版権処理の簡単さに魔が差したのかDVDでとっくに発売済みのものです。

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2013年06月07日

しぇ〜! 鬼畜松竹実録系配役主義に走る???

 歌舞伎で政略結婚のために女を捨てるってたら、モックンじゃない民谷の伊右衛門。

 そんな伊右衛門に捨てられる女ったら四谷様。(お芝居の世界では「お岩さん」なんて云ったら素人丸出しでございますよ。)

 この2人をあーちゃん(染五郎)と、あーちゃんの一方的に捨てられた元フィアンセの実弟・カズヤス君が勤める7月の歌舞伎座。何もなければいいんですけどね。神田明神様のパワーは強いですし、両親が緋牡丹お竜に鬼平ですから心配してないですが…。

 代役・松緑を期待している私も伊右衛門並に鬼畜でございます。m(_ _)m

 それにしても新装再開場4ヶ月目!にふさわしい演目でございます。4日初日ですから、13足して17日の切符でも取っていただければ代役で観られる気がしてまいりました。(ワクワク)(大人のシャレですよ、お分かりとは存じますが。)

http://www.kabuki-bito.jp/news/images/kabukiza_201307.jpg

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