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橋下徹、古典芸能お局に事実上の「喝!」

 文楽の正月公演(大阪・国立文楽劇場)での入場者が大阪市による「基準」に達成しないため助成金減額が決定しました。

 文楽ファン(特に橋下徹に投票したり、前回棄権した大阪市民)は痛恨の極みでしょう。自分もやるせない。

 でも、関西(上方)歌舞伎が衰退した歴史を踏まえると、関西の古典芸能ファンは何をしているのか、と言いたい。いや、全国の古典芸能ファンにも言えること。

 文楽に限らず古典芸能お局様らのTwitter上のつぶやきを読んでいると、お局様の上から目線と彼女たちの限界もまた、古典芸能の維持に貢献していないことが明らかになった、という意味では橋下徹の政策も《罪》ばかりではありません。

 話しは去年に戻ります。

 ドラマ『半沢直樹』で片岡愛之助がオネエ役で、世間一般に認知された後、女形とオカマの違いも知らないような人たちが歌舞伎に来られてもネェ…と、たまたま『半沢直樹』放送時には観劇歴数年だった女性ファンの醜い《つぶやき》を目にして、本当に魂に穢れ多き醜女お局どもだと感じました。

 関西(上方)歌舞伎が衰退し、民間企業・松竹が文楽を手放した過去を踏まえない奴らが、何をエラそうに、としか思えませんでした。

 全国放送のドラマに出て愛之助バブルが来ました。毎月のように愛之助のCM出演が増えているようにも見えます。関西の役者が飛躍することを、まずは全面的に喜べないお局どもが、どれだけ動員に貢献していてそんなエラそうなこと言えた義理なのか、訊いてみたいところ。

 愛之助が好きなら、松嶋屋の番頭さん経由で桟敷席や一等席を毎月何枚買っているのだろうか? 何回、あるいは毎月、何度そういう席に座り、何人の家族・知人らを連れて利用しているのだろうか?

 おそらく答えは3階席を松竹から買ってるお一人様です、が関の山。

 歌舞伎でも商業演劇でも誰でどれだけ動員できるかで、スターかどうか定義されます。

 歌舞伎の場合は特に、誰の息子かによって運命が決まる側面も多いですが、人間国宝の倅だから動員できるスターに育つとは限らない。家柄がよくても、その時々の上の世代、下の世代、そして同年代の俳優の実力や人気具合、はたまた“相手役”に恵まれるかどうかで早咲きになるのか、晩成型になるのか、莟のままで終わるのかが決まることだってあります。

 また、人気があったところで父親を亡くすことにより“孤児”扱いになることも多々。


 話しを文楽と大阪に戻します。

 今月の正月公演ほど「動員」が話題になったことはありません。

 今すぐ悲観する必要はないでしょう。

 ただ、多くの演者(技芸員)や裏方、制作者などが必要な芸能には、ある程度以上の動員、すなわち利益があがらないことには、維持できない、という貨幣(カネ)で物事が決まる現実を知らないで、ネチネチとポスト『半沢』にわか愛之助ファンを蔑視するお局たちのどこに【徳】があるのか。

 愛之助ずーっと好きで見てるだけで幸せ。

 文楽が好きで、ただ好きです。

 そういうだけならまだ許せる。ネット上で他人を批判しないなら。自分たちの遣り繰りできる経済的な限界の範囲内で観劇しているだけですから。(その分、老後の蓄えがなくなっても自己責任ですが。)

 許せないのは、どんな人であろうと、仮に『半沢直樹』バブル効果で結果的に一見様になっても、空席を残すよりは、動員して「満員御礼」の看板が出るほうがいいに決まってるという基本中の基本を理解していないファン。

 そういう市場原理(そう、文楽だって商業演劇でもあるし、文楽協会が運営しているもので、技芸員は国家公務員ではありません)を踏まえないで、客が客を選ぶというか、時間とお金をかけて来場する人たちに非難を浴びせたり、たまたま「入門者」より早く芝居を観ていたというだけで、どうして「そんな人たちが(劇場に)来てもねぇ」などと言えるのか。

 愛之助ファンと文楽ファンを一緒にしてはいけないが、演劇なんて、商売として成り立たなくなったらあっけなく消えるもの。

 文楽だって歌舞伎だって、繰り返し上演されているものは残っているとはいえ、そうでない演目も多い上に、現在では松竹や国立劇場/国立文楽劇場の定める(そして多くの中高年の生理・生活・要望に合わせて)トータルの上演時間の関係で出せなくなってきている演目もあります。

 文楽はそうでもないのでしょうが、歌舞伎の場合は、きちんとした脇役の幹部俳優が不足気味で味わいにも影響し、上演演目にも影響がすでに出ています。

 今月の正月公演では、文楽の技芸員がロビーに出たり、動員「基準」達成がむずかしいと聞きつけたファンらが当日券に列をなしたりと、盛り上がったようですが、経済的にペイしないと、大阪市や橋下徹の補助金だけの問題ではなくなってくることでしょう。

 歌舞伎のかつらや衣装ならば、日本舞踊と共通で使えるものもありますが、文楽人形の寸法での衣装、頭や人形の髪、小道具(扇など)は、他に使えませんから、そういう面での維持管理が出来なくなったら、それでおしまい、となります。

 戦争中、爆撃で大切な床本が消失し、大江巳之助が文楽人形の頭(かしら)を制作したり、と有形無形の苦労が、ここ数十年間のあいだもありました。でも、なんとか文楽はつづけられてきました。

 二派に分裂したり、身内の遣い込みなど、端から見ているとアホらしいことも経験してきて今日の文楽があります。

 でも、ほかならぬ大阪地にあって文楽が、商売になるかならないか、を知らないはず、ありません。(知ってても国立文楽劇場の国家公務員かそれに準じる人たちには所詮、他人事なのでしょうが。)

 歌舞伎だってそう。

 いずれ、遅かれ早かれ、現在60歳代以上かつ稼ぎ頭の俳優は順番に他界するでしょう。勘三郎だって團十郎だって、あっけなかった。

 そういう時のためにも、オネエ監査官でにわか愛之助ファンが観劇したって、そのうちの何パーセントかが歌舞伎、ひいては文楽を含む古典芸能ファンになって何が悪いのか。

 町の書店が、本を読むより携帯電話やインターネットという世の中になり、万引き被害もあって閉店に追い込まれる、といった例を考えてみるといい。

 書店主や読書家が、キッカケはどうであれ、万引きせずに書籍を購入する消費者を批判できますか?

 しょせん男ですから、女やお局の感情は分かりません。

 『ほんまでっか!?TV』で誰かが言ってた、女は自分以外はぜんぶ敵、という説が正しいのであれば、歌舞伎/愛之助ファンのお局様が、自分とは違う人たちを、とりあえずは排除しようとする感情も分からないではありません。

 しかし、観劇歴のある客が、特定のにわかファンをネット上で批判することで何が生まれるのでしょうか?

 片岡孝夫(現・仁左衛門)だって、玉三郎という相手役を東京で得て、なおかつ、あれだけ美形でなかったらブレークなんかしていなかった可能性が高いと思います。

 いくら名家に生まれ、実力・熱意があったところで、素顔も化粧した顔もブサイクだったら、果たして片岡家三男坊の孝夫が仁左衛門襲名などできたであろうか?

 片岡孝夫バブルの時代は、テレビで司会をつとめたり、野村芳太郎監督の映画複数に出演したりと、孝夫は孝夫でバブル期を経て、多くの一等席で観るようなファンを獲得してきたのも近代演劇史の一コマなのです。

 バブルが終わった後も橋田壽賀子・脚本の『源氏物語』で光源氏を演じるなど、やはり映像に耐えられるルックスがあるからこそでしょう。

 基本にもどります。

 孝夫さんも襲名時のドキュメントのインタビューで語っていたことですが、演じる側がどれだけ高いものを持っていたところで、お客さんがいなかったら何の意味もないのです。演劇は。

 関西(上方)歌舞伎の衰退を経験した人ならではの言葉でしょう。

 文楽だって衰退するとしたら(イヤな仮定ですが)あっという間でしょう。

 本を読むと、昔は明治座やら新橋演舞場など大劇場での文楽公演もあったと言いますが、今では一番大きなキャパでの公演は大阪の国立文楽劇場。


 にわか片岡愛之助ファンを批判するお局どもは、1クールのテレビドラマやその残響がある間だけの近視眼的な見方ではなく、もうちょっと長い目で過去を見つめ、未来を考えてから、他のファン批判なり物言う存在になって欲しい。

 そして、本当に愛之助ファンならば、劇場ロビーにいる番頭さんに自分から声をかけて、翌月以降なり、次回の大阪公演などの切符の手配(もちろん一等席か桟敷席となりますが)をお願いするなりして、愛之助のファン層の厚さ、購買力などを松竹に見せつけておかないと、少なくとも松竹座では増えるであろう座長公演や、いずれは来るであろう「襲名」(どの名跡かは分かりませんが)に耐えられない存在となってしまうのです。


 自分たちが愛する演劇や役者を、まず自分たちが育まないと、いつの世でも橋下徹みたいな伝統や文化を理解しない輩によって「存亡の危機」という、ありうる可能性や現実を突きつけられるのです。場合によっては松竹や国によって。

 そういう意味では、少なくとも歌舞伎ファンは橋下徹に感謝すべきだし、大歌舞伎も文楽のようなイジメにあうことも可能性としてあることを心得るべきです。

 政治がイジメなくても、また大災害が起これば、娯楽どころではなくなる状況が生じる可能性も理解しましょう。

(よ)

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2014年01月27日 14:37に投稿されたエントリーのページです。

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