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【創作】ショート浄瑠璃●中村棘蔵バス籠城の段

『女性セブン』最新号(2013年4月18日号)掲載「海老蔵あ然!大物役者バス籠城事件-銀座パレードの裏で」を読んで、創作としてショート浄瑠璃をこさえてみました。あくまでフィクションです。名称等は実在の人物・団体とは関係ありません。平成25年4月となった現時点では不適切な表現もありますが、先月当時のオリジナリティを尊重し、そのまま掲載いたします。

 内容もビックリですが、時蔵がいつから「大物役者」になっていたのか、驚きました。

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〽雨の降る 銀座の通りを 歌舞伎座再開場 祝いて役者が練り歩く 予定時刻になれども始まらぬ 往来集まる人々は まだ始まらぬと 不審なり

〽司会者・時光「しばらくお待ちを」と云うなれど 傘をさしたる人々に 冷たき雨は降りしきる

〽若き役者は傘ささず 見物人の前へ出る 支度を整えしも バスの中から出ようとせぬ 役者がひとり萬屋坊ちゃん中村棘蔵。会社の者へ 悪態 罵詈雑言。

棘蔵「これ岡咲、阿部子。なんぞこのような雨の中、わたしが傘もささずに外へ出て、風邪でも引けとも云うのかえ。けったくそ悪うて、ヘソで茶でも沸かして呑んでみるわいな」

〽険しき白髪の女形 眉間ににシワ寄せ ふてくされ もとより参加せぬ 人間国宝 斧円菊吾郎とは 舞台で相手を勤むれど 雨に濡れて花形と 一緒に歩くとは 解せぬ心が煮えたぎる

岡咲「まあ、萬屋さん。せっかくの晴れのお練り どうぞ歩いてくだしゃんせ」

棘蔵「あたしゃ、あんたになんぞ云われても歩きゃせぬわいな」

岡咲「贔屓の皆様も沿道で首を長ごうして待ってなさいまする」

棘蔵「えゝ、黙れ岡咲。あたしにあれこれ云う前に、豚になって飛行機でも飛ばしてみや」

〽返す言葉のない岡咲 それを見かねて専務の阿部子

阿部子「誠に恐縮には存じますが、萬屋さん、私が竹梅の演劇部を担当しましてより、AB蔵暴行事件、人間国宝の相次ぐ死去、新勝寺屋さん波野屋さんまで。せっかく音和屋宗家のぼっちゃんと播州屋さんのお嬢様のご結婚で盛り返したところでこじれましては私の身の不徳が重なりまするゆえ…」

〽そこにアル中・酒助が 般若湯を升に注ぎ 棘蔵へ差し出し

酒助「にいさん、ここで折れたほうが、よござんしょ。嫌なことは酒で流して厄落とし。武俊が真人間キャラになった今となっては、籠城女形は ちっともええことあらしまへん。わっちや武俊を その目ぱっちり開けて見てみなはれ。CMゼロで遊ぶカネはあっても襲名するカネはえろう難しいこともありますよって、ささ、息子2人のためにも、借金はこさえても敵はこさえんほうが、ま、よかろうぞいなぁ」

〽雨も小降りに 拳(こぶし)もほどけ 萬屋棘蔵 バスを降(お)りにけ〜りぃ〜(終)

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2013年04月04日 18:05に投稿されたエントリーのページです。

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