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中村雀右衛門、本日午後永眠

以前より入院されていた東京・中央区の某総合病院にて中村雀右衛門さんが亡くなられました。

本当に悲しいです。

波乱の人生で、気遣いも相当だったでしょうから、そういったしがらみのない世界へ行かれるよう祈りたいと思います。

80歳を超えても雪姫などを通常の興行で演じられ、若くて何よりかわいい女形さんでした。いつぞやの人間国宝だらけの『野崎村』では、娘でも無理のない説得力のある可憐で上品なお染も印象に残っていますが、富十郎さん、芝翫さん、そして雀右衛門さんまで亡くなられるとは、さみしいものです。

私が歌舞伎を観はじめた昭和50年台には昭和の名優がまだまだ毎月のように歌舞伎座の舞台に出演しており、梅幸さんや歌右衛門さんも元気でいらして、中間世代と言っては失礼かとは思いますが、雀右衛門さんや芝翫さんが難しい役どころでもきちんとできて当然のような「空気」がありました。

また、客席にも歌右衛門さんに「役者の神様!」と声を張り上げる大向うもいた時代ですから、雀右衛門さんという奥ゆかしくも大粒な宝石を十九、二十歳の若造がきちんと理解していたとは言いがたく、今さらのように後悔しています。

富十郎さんとの『二人椀久』に感動したり、現・幸四郎との共演で二役を勤めた『桜姫』に驚き、誰よりも勝頼を慕う激しい愛情を上品に演じた『十種香』と『奥庭』に圧倒されていたのに、雀右衛門さんの輝きに本当に気が付いたのは平成になってからでした。

もともと兼ねる役者とはいえ女形が多かった菊五郎さんが「立役」で人間国宝になったのも本当にすごいことだと思いますが、27歳で女形に転向して、今の若い御曹司たちのように舞台出演の機会に恵まれていなかった時代を経て、人間国宝になった雀右衛門さんは、もっとすごい人だったと思います。

80歳を超えているのに、その舞台姿のかわいらしかったこと。

もうお芝居を観た後に、ジャックかわいかった、と言えないさみしさを埋めてくれそうな女形さんは、見当たりません。顔や姿が似ているから芝雀さんにジャックの面影を求めるかもしれませんが、芸は一代なのだと、つくづく思います。

後援されていた方々も一流の人ばかりでしたから、告別式などは未定ということですが、すばらしい集まりとなることでしょう。

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2012年02月23日 23:02に投稿されたエントリーのページです。

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