« 微妙な似顔絵集 | メイン | 松本清張・著『神々の乱心』 »

スキャンダルで切符を売る?松竹のビジネスモデル

 大阪松竹座で「市川海老蔵 特別舞踊公演」(平成21年6月3日~10日)の初日直前の今月1日、翌2日発売の「週刊女性」で川村ひかりとの“交際”報道が流れました。実際は、交際どころから第三者と一緒に飲みに行ったら偶然、海老蔵が同じお店にいただけど、と川村ひかりは自身のブログで述べています。しかも、半年も前の冬のこと。つまり、彼女サイドの売名行為ではなかったのです。では、誰が得するからといえば、海老蔵もしくは切符を売りたい松竹。(「週刊女性」も得したかもしれませんが、海老蔵の記事で部数が伸びる程、世間一般の購買力(購買欲)とは結びついてないでしょう。)

 そこで、したたかな松竹が「海老蔵の発案」として急遽、8日間の舞踊オンリーの地方公演なのに團十郎家しかできない「にらみ」を入れるため追加演目として『口上』の一幕を入れることに決定。(金屏風と口上の衣装・鬘さえあればすぐに出来ますから安上がり。仕込みの値段も変更不要だし。)本日付の「夕刊フジ」じゃありませんが、老舗松竹のしたたかな話題のすり替えは見事。「新型インフルエンザ蔓延のため」という理由が取って付けたようですが。

 でも、本当にショッキングなのは「にらみ」の安売りではないでしょうか?

 自身の襲名披露など特別な場合はともかく、本興行でもなければ、家の芸のためでもなく、海老蔵にしてはイマイチなチケットの売れ方を憂慮しての苦肉の作と言われてもしょうがないし、スペイン風邪のときと同じく、新型インフルエンザが第二波、第三波と流行したら、その都度、にらんでくれるのでしょうか。しかも、今回は大阪府でも兵庫県でも感染が収束しつつあるなかで「蔓延」ということばの使い方、ちょっと問題アリかと思います。

 古い話になりますが、團十郎が歌舞伎座で襲名披露したとき、初日の楽屋から「ニューセンター9時」の生中継があり、木村太郎キャスターが團十郎にインタビューし、特別にテレビカメラに向かって「にらんでくれますか」と言われて拒否したことがありました。もちろん、木村太郎がおバカなお願いをしただけのことであって、團十郎は一発瞬間ギャグを得意とするお笑い芸人でもないのですから、当然の拒否でした。あれから四半世紀、十三代目となるべき人間が「にらみ」の安売りを始めたとしか思えません。確かに大阪松竹座は松竹直営の劇場ではありますが、純粋な舞踊公演で宗家がにらんで見せるとは、不況なんでしょうか。(それとも成田屋の○○問題で肩代わりしてもらった恩が松竹にあるからか。)

 そして、昨日(3日)また、7日初日の『NINAGAWA十二夜』主演の菊之助のスキャンダル報道がありました。本日発売の「女性セブン」がモデルの知花くららとのイタリアンディナー・デート&自宅“お持ち帰り”を報じています。(美人とはいえ、芸能界的に小物すぎ。)

 2002年に江角マキコと交際してます宣言をしたら、いつの間にか彼女の方が翌年に別の男性と結婚した、ということはありましたが、スキャンダルとは無縁だった菊之助が、なぜ今このタイミングで?不思議です。

 しかも、自宅にお持ち帰りまでしたものの、1時間で彼女が帰ったとまであり、それって菊之助が●●ということで候か?とツッコミたくなる事実。イギリス帰りで、本格的なイングリッシュ・ティーを楽しんだらそのくらいの時間になるからなのかもしれませんが、仮に菊之助が『電車男』のファンだったとしても、今さら真夜中すぎの午前1時にベノアごっこでもないとは思いますが、不思議なタイミングで不思議なスキャンダル報道。お父さんはどれだけ外で遊んでもスキャンダルにならないのに。

 松竹は東西で切符をさばくために売れ行きがイマイチ公演の座頭独身俳優にあることないことのネタをバラ撒いてスキャンダル報道を計画的に流させているのでしょうか。もちろん、根拠や証拠のあることではありませんが、タイミングが良すぎて、もしかして松竹が、と思われても仕方がないことが二回も偶然に続くものなのでしょうか。これじゃあ、蔓延しているのは新型インフルエンザではなくて、似非スキャンダルに、良家のノンケ歌舞伎役者の玉三郎化。

 ちなみに「女性セブン」は2001年に玉三郎の元お弟子さんによる告発手記を掲載したりと、松竹と仲良くしなくてもやっていけるのかもしれませんが。

 家柄の良い歌舞伎役者が全員、橋之助みたいに男子に恵まれたら、それはそれで大変なことになるでしょうが、平成の三之助、松緑がとっくに結婚して息子がいて、黙っていてもそのうち初お目見えに初舞台となるだろうに(国立劇場の織田さん、四代続けて紀尾井町の舞台を手がけることになるのでしょうか。)、海老蔵も菊之助もどうしちゃったんでしょうか。松竹も将来のこと考えるなら、雅叙園かどっかで合同お見合いでもやればいいのに。

 冗談はともかく、海老蔵と菊之助の未婚や跡継ぎ問題とは別に、幕内でも、そのうち確実に来るのは松緑の時代、と言われています。強烈なスター性や新劇に出たときの評判の良さは2人に譲るとして、時代物にしても世話物にしても、歌舞伎役者として着実に実力を上げて認められている若手は松緑なのです。今のところ、松竹のIR資料で集客力のある俳優として挙げられることはないと思いますが、菊五郎世代がいなくなった時に、いま普通に出している世話物や時代物(丸本物)で主役を努められると現在、確実に太鼓判を押せる若い世代の役者は、勘三郎・三津五郎・成駒屋兄弟より若い世代では、松緑くらいのものでしょう。

 先日、古い歌舞伎番組の録画テープをDVDにダビングしていたら、二十歳くらいの松緑(当時は辰之助)が山川静夫のインタビューに答えている映像が出てきました。親代わりの菊五郎と團十郎の両方に「時代物ができないと世話物はできない」と言われているので時代物からかんばっている、と初々しく語っています。どうやらヒイちゃんも夏雄ちゃんも、息子には甘いようです。

(よ)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://bobbi.jp/adminsys-blog/mt-tb.cgi/128

About

2009年06月04日 22:59に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「微妙な似顔絵集」です。

次の投稿は「松本清張・著『神々の乱心』」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。