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千谷道雄・著「秀十郎夜話 ー初代吉右衛門の黒衣ー」

 歌舞伎役者のディープな裏話です。秀十郎さんの話だけかと思いきや、明治時代の團十郎の話やら、戦前の小芝居の劇場の話まで、こういった記録がなかったら今日のファンは知ることもないようなことばかり。最近の見物は忘れがちですが、他の古典芸能同様、歌舞伎(役者)も後援制度に頼るところがあるといった普遍的な事柄に関する指摘もあります。

 秀十郎さんのちょっとした説明や指摘は、役者にとっても「ドキ」なのでは?と思えるよう箇所も結構あります。階段を降りる演技にしろ、馬の脚やとんぼの話にしても。

 ただ、本当にディープな話ばかりです。解説で渡辺保氏が、この本の内容を「秘境」と呼んでいますが、本当に覗きたいファンだけが読むべき本だと、私は思います。歌舞伎の華やかできれいなところだけ見ていたい人は、決して覗かないほうがいいでしょう。

 関係ありませんが、自分が出版社の人間だったら市川升寿さんの話をまとめて本にしたいものだ、と10年くらい前から思ってます。実現はしないでしょうが。この本を読んでも分かりますが、芸歴の長いお弟子さんのほうが知ってることって、たくさんあります。でも、記録しないと残らないのです。

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2008年11月13日 13:31に投稿されたエントリーのページです。

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