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2008年11月 アーカイブ

2008年11月03日

乱歩×歌舞伎=ヒーローショー/国立劇場十一月歌舞伎公演「江戸宵闇妖鉤爪」レビュー

 福袋のような芝居でした。最初から本物を正札で買えるような人は買わないが、買うような人にはそれなりの満足を与える。期待を超えるイイ物も入っているが、とっとと捨てても惜しくもないような物も入っている。そんな芝居でした。

 原作の江戸川乱歩・著「人間豹」を読んでから観ました。脚色(岩豪友樹子)は昭和10年に連載が終了した原作を、みごとに幕末に移植していたと思いました。原作は昭和初期を舞台としつつも、まだまだ夜の闇が深かった時代の東京を舞台にしていて、人間豹という怪物(怪人)の存在が歌舞伎向きのキャラクターである、ということも成功の要因にはなっているとも思います。ただ、原作を読んでいないと意味不明の「目がつら」や明智女房のお文(春猿)が獣のぬいぐるみに入った理由など、イマイチ不明なところも残されています。

 その原作本(創元推理文庫)の解説部分に書いてあることですが、八木正幸氏が2001年に指摘している通り、「人間豹」は“特撮ヒーロー・ドラマの先駆型”であり、「仮面ライダー」にもつながるものがあります。この解説を観劇する前に読んでいたとはいえ、あまり意識していませんでしたが、人間豹=恩田乱学(染五郎)が二度目に、最初と同じ怪人の衣装で登場した時に、これは正義の味方が変身しないだけで、仮面ライダーと同じことだ、と思いました。

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2008年11月08日

松本幸四郎 松たか子・著「父との往復書簡」

 松本幸四郎 松たか子・著「父との往復書簡」(文藝春秋・刊)を読みました。「オール讀物」平成18年5月号から平成20年4月号まで連載されたものが一冊にまとめられたものです。松本幸四郎家においても、染五郎の息子の初お目見えや松たか子の結婚まで、いろいろあった2年間に父と娘があえて手紙という形で対話する形式が非常におもしろくて、一気に読み終えました。

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2008年11月12日

千谷道雄・著「幸四郎三国志」

 今月は高麗屋にフォーカスしているわけではないのですが、松本幸四郎 松たか子・著「父との往復書簡」に続いて、八代目幸四郎(後の白鸚)の東宝移籍顛末に関する本として知られているということで図書館から借りて読みました。1981年の出版で、現在は古本としてしか入手できないようです。

 著者の千谷道雄については恥ずかしながら全く知らなかったのですが、この本にもあるように、戦後に初代吉右衛門に求められて狂言作者のような形で歌舞伎の世界に入り、高麗屋一門と一緒に東宝へ移籍してからは制作の仕事もし、しまいには国立劇場私設裁判へ被告側の人間として謝罪しに行くという、波瀾万丈の半生で、下手な芝居や小説よりもおもしろかった。また、劇作までする人なので、この本に登場する多くの人間を、それぞれ、ごくごく限られた字数でどういう人間かを形容する表現が適切で笑ってしまうと同時に、感嘆してしまいます。

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2008年11月13日

千谷道雄・著「秀十郎夜話 ー初代吉右衛門の黒衣ー」

 歌舞伎役者のディープな裏話です。秀十郎さんの話だけかと思いきや、明治時代の團十郎の話やら、戦前の小芝居の劇場の話まで、こういった記録がなかったら今日のファンは知ることもないようなことばかり。最近の見物は忘れがちですが、他の古典芸能同様、歌舞伎(役者)も後援制度に頼るところがあるといった普遍的な事柄に関する指摘もあります。

 秀十郎さんのちょっとした説明や指摘は、役者にとっても「ドキ」なのでは?と思えるよう箇所も結構あります。階段を降りる演技にしろ、馬の脚やとんぼの話にしても。

 ただ、本当にディープな話ばかりです。解説で渡辺保氏が、この本の内容を「秘境」と呼んでいますが、本当に覗きたいファンだけが読むべき本だと、私は思います。歌舞伎の華やかできれいなところだけ見ていたい人は、決して覗かないほうがいいでしょう。

 関係ありませんが、自分が出版社の人間だったら市川升寿さんの話をまとめて本にしたいものだ、と10年くらい前から思ってます。実現はしないでしょうが。この本を読んでも分かりますが、芸歴の長いお弟子さんのほうが知ってることって、たくさんあります。でも、記録しないと残らないのです。

2008年11月22日

若手役者のブログ

<注:下記の情報はあくまでインターネット上の情報や出来事の伝聞・解釈であることをご了承ください。(しかし、信憑性が高い、と一部インターネット掲示板利用者に思われていることは事実です。)>

 今、若手歌舞伎俳優のブログが某掲示板で話題になっています。ドラゴン之助(仮名)という役者のブログではないか、と噂されているブログ・サイトがあり、その内容が、秋葉原系のゲームやアイドルの話だけではなく、菊五郎親子や玉三郎など、かなり幕内の人間に対して暴言を吐くようなエントリーも多く、掲示板で、これドラゴン之助でしょ、と噂になっています。

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2008年11月25日

池波正太郎・著「又五郎の春秋」

 又五郎を舞台で見かけなくなって久しい。自分の記憶では、勘九郎最後の芝居の最後に出たっきり、だったかと思う。しかし、昭和50年代になってから歌舞伎に興味を持った自分は、又五郎の芝居というものをしっかり観たことがないのを、本当に残念だと思います。もっと前に生まれて、東宝で“歌舞伎”を上演していたような時代に生まれなかったら無理だったのかもしれませんが。

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