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雑記 アーカイブ

2007年02月12日

はじめまして

【通訳者】という職業には、さまざまな俗説 (myth) があります。
場合によっては、通訳者自身や通訳業界が自ら流布しているような俗説というか建前まであります。

このブログを通して、そのような俗説を正して (debunk) していきたいと思います…(大げさなことではありませんが。)というか、一人の通訳者の経験や日常から垣間見ていただければ幸いです。それが同業者のためになるのか、通訳者になりたいと思っている人達のためになるのかは分かりませんが、何らかの参考になれば幸いです。

2007年03月11日

通訳者ですが…男です

日本の同時通訳のはじまりがいつなのかは分かりませんが、戦後の東京裁判にせよ、伝説のアポロ月面着陸テレビ衛星生中継の同時通訳にせよ、黎明期において男性が多かったであろうな、とは思うのですが、今ではすっかり女性の職業としてのイメージがほとんどです。

確かに、あらゆるレベルにおいて女性の方が多い、と言ってもいいでしょう。それ自体は問題ではないと思うのですが、問題にしてくれる人達はいます。

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2007年03月26日

英語に訛りは付きもの

スタンダード・イングリッシュ(標準英語)など存在しない!というのが言語学の見解です。

外国人が話す英語を想定しないとしても、そんなものは存在しないのです。

でも、いわゆる「プロ」通訳者(特にあまりレベルの高くない人)には平気で分かりにくかった、と述べるプロらしからなぬ人が多いのです。英語は国際的な言語。よくも悪くも歴史的に国際的に、特にビジネスにおける共通語となっているのですから【英語】の通訳者として有料で仕事を受けるプロである以上、文句を言うな!と言いたい。確かに分かりにくい人はいます。でも、話し手(スピーカー)を選べないのも通訳の宿命。そういう難しさがあるのだから高い時給(ギャラ)を貰えているはずなのに、仕事が終わったとたん主催者(クライアント)に文句を言うようなモラルやマナーの無さの方が訛りある英語よりも恥ずかしい。

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公式な場の通訳だけはしたくない

EU50yrs.jpg

ローマ条約が締結されてから50周年ということでヨーロッパでもEUがお祝いしておりますが、昨日、東京でも式典とパーティがあり出席いたしました。

EU50yrs2.jpg

安倍総理がスピーチされた際、スピーチ原稿に無いことをアドリブで入れたため、原稿にそった通訳が前提であった通訳者が無言状態になっていました。各国大使がいる中、頭が白くなったのかどうかは分かりませんが、同情しました。そうしたら総理のお付きの人なのか居合わせたお知り合いなのか分かりませんが男性が助け舟。内容的には難しいとは言いがたい“アドリブ”でしたが、固有名詞がふたつも出て、しかも前後関係がちょっと不明であったという不意打ちだったかと思います。

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2007年03月31日

職業病

都内のとあるホテルの車まわしでの話。

親会社の社長を黒塗りに乗せて、自分は助手席に乗り込み、あわただしく次の訪問先に行かないと、とかなりバタバタしてたのですが、親会社の社長が乗り込み、ウチの黒塗りのドアを閉めようとしていたドアマンに外国人がつまらない質問をして進路妨害されたので、ついつい通訳してしまいました。

ドアマンが仕事をしているのに、超つまらない質問を一瞬待てずに外国人も視野が狭いし、外国人も本当によく利用するホテルでありながら「リムジンバス、このホテルを出たら次はどこのホテルに停まってから成田に行くの?」(答えはそのホテルを出たら次は成田)くらいの英会話ができないドアマンもどうかというか、顧客サービスを考えてないというか。

基本的には頼まれてもタダでは通訳しないのが自分のポリシー。非通訳者が考える程、無神経・無責任にできる業務ではないからです。でも、会社の仕事を半分妨害されそうになり、こっちも時間で動いているのに考える間もなく簡潔に通訳してアホなタイミングでアホな質問する外国人を処理。自分でも助手席に乗り込んでから自分のしたことを認識。

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2007年04月08日

通訳者の疲れ方

自分は通訳者向きだと思える部分もありますが、通訳に向いてない部分をひとつ挙げるとすれば、疲労蓄積の曲線がある平行線を超えると疲労回復曲線がゆるくなることです。

先週はそんな疲れきった1週間でした。月曜から金曜まで、かんたんな挨拶スピーチでいい日本語が出て来ないと自覚せざるを得ません。フリーランスでも社内通訳者でも、今週疲れたから仕事量は抑えめに、なんて贅沢言えることはないと思います。今週、確かにヨソの部署のヘルプなんか入れてなかったら1日有給に出来たのに…、と悔やんでもしょうがないので、出張や会食のオーバータイムを理由に出社時間を遅くしたりしようとしても、結局は終日休みにしないとリフレッシュなんて、できっこないです。

通訳業務で頭を使いすぎると、仕事が終わっても頭の回転だけは止まらず、帰宅してからテレビ見ていても、なぜか聞こえて来る言葉を頭が勝手に訳そうとしたり、口や喉を使う電話なんてしたくないから、ネットでチャットしようとしたりするすることもありあます。

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2007年04月11日

地方の通訳者って...?

地方での会議が決まり、某通訳会社の地元事務所に電話をしました。
ひと言で内容を伝えるのが難しいとはいえ、某若い女性営業担当者が根掘り葉掘りの質問。
(どっちが発注者でお客やゆうんねん?!)

その質問に、日英/英日の割合は?というのがあって、正直、あきれました。

ヨーロッパではともかく、日本において英語⇔日本語の【プロ】通訳者と名乗るのであれば、どっちかしない、とか、どっちが得意などとは問題であってはいけないことだと思ってます。個人的な見解にすぎないかもしれませんが、日本語から英語に通訳、あるいは逆方向の通訳を得意/不得意などと自ら発言したり開き直るのはレベルの低い社内通訳者の台詞。

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2007年04月16日

英語を話すと根拠なき反感を買うことも

今日のランチ。ラーメン屋へ行きました。アジア系外国人、バイリンガルの日本人役員と自分。

テーブル席に着いた時から隣のテーブル席に座っていたニッカポッカを着た建設作業員が私たちを見てました。すぐ目の前に同伴の作業員が座っているにも関わらず、斜に構えて座ってこちらをジーっと。最初から英語を話すとはいえ日本人とはちょっと違う雰囲気のアジア人を注視しているのは分かりました。それだけでもかなり失礼だと思うのですが、仕舞にはその若い作業員は我々に「静かにしてもらえますか」と蚊の鳴くような声で言ってきたのです。その作業員の頭上では超懐メロのアメリカン・ロックのBGMが決して上品とは言えない音量で響いていたにも関わらず。しかもラーメン屋ですから携帯電話での通話も当たり前の環境。

このケースを「人種差別」だ、なんて言う気はありませんし、確かに新幹線で外国人と外国語で話す声が妙に響いて聞こえることもあります。でも作業員のリアクションはあまりにもオーバー。

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2007年04月20日

Kumbaya

先日、映画『ブラッド・ダイヤモンド』を観ていたらなつかしい言葉がレオナルド・デカプリオの台詞にあったので書きます。

黒人霊歌(スピリチュアル)もしくはゴスペルを楽しまれている人でないと日本人はなかなか知らない曲に「Kumbaya」(発音はクン・バー・ヤー)というのがあります。意味は、と訊かれても答えられないし、日本語に訳せる言葉でもないのですが、アメリカ人だったら分かる言葉でもあります。(現に、南アフリカ人であるデカプリオがアメリカ人ジャーナリスト役のジェニファー・コネリーに自分のアフリカにおける生い立ちの説明で出てきました。)

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臭い(にほひ)

都内のとある施設で通訳業務をした時のこと。

ホテルではありませんが、通訳ブースと機器が常設されている会場でした。しかし、イベント本会場通訳ブースがコントロールルームの奥にあり、専用カードでエレベーターに乗り通路のドアを明け、狭い通路をくぐり抜け、サウンドエンジジアをかき分け、巨大プロジェクターの映像に影をださないように頭を低くして…という感じでたどりつくような間取り(?)。

さあ、イベントの開始。開会のスピーチを通訳しにブースへ入ると…

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2008年01月12日

賀詞交換会

 業界的には限定的かもしれませんが、社内通訳をしていますと年明けのお昼や夕方にある仕事が「賀詞交換会」への参加。幸いにもスピーチを人前で通訳するようなことはありませんが、壇上のスピーカーの言葉はウィスパリングで通訳することになります。

 先日参加した賀詞交換会では本来、某省の大臣が招待されていたのですが例によって他の予定があるので参加できない、ということで議員としては若年の代理の人が大臣の「言葉」を読み上げたのですが、超猛スピード。通訳しきれるわけがありません。

 賀詞交換会でもサプライヤーとして呼ばれているだけで上司と一緒に食べられるものもありますが、所属業界の賀詞交換会となると名刺交換で飲み物も口にできないようなものも。ホテルの宴会場で開催されるものばかりですから、食べていたら新年早々カロリーカウンターが上昇する一方になりますので食べることは期待しないで行くに限ります。でも、今年は新年早々、某一流ホテルの宴会場で大盛りのとろけるウニを食べられ満足。

 月末までまだ数回、賀詞交換会や新年会があります。通訳しがいのあるようなイベントとは言いがたいのですが、社会人として、会社に勤める者として顔と名前を覚える良い機会でもあります。

2008年01月31日

通訳会社の売り込み電話

 とある非メジャー通訳会社から売り込みの電話を受けました。以前から知っていたのでホームページで調べたことのある会社でした。大きな会社ではないのですが、ホームページの説明によると某大手のように融通のきかない受注条件を前面に出している会社なので、最初から問い合わせさえしませんでした。

 プロ意識を高く持ち、通訳の質にこだわることは当然ですし、フリー通訳者の労働環境はエージェントが守るべき、だと思いますので、その会社の主張は決して悪いことではありません。

 しかし、予算に限度のある会社(どこでもそうだと思いますが)で半日の同時通訳業務でも通訳者を3人派遣させてもらいます、といった柔軟性のない設定でしか受注しない会社というのは、こちらとしても発注しずらいのです。

 売り込みの電話をかけてきた人にその旨をつげると、さっさとあきらめていました。よっぽど自分たちの主張がビジネスの現場でも受け入れられて当然だ、と考えているのでしょう。それ自体が悪いこととは思いませんが。

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2009年05月24日

とある Songwriter の話

 もう10年以上も前の話ですが、世界中でこの人の名前や顔は知らなくとも、この人が書いた歌を一度も耳にしたことの無い人は絶対にいないだろう、と言えるくらいの人の通訳をしたことがあります。当時、某アメリカ企業のグループ(下部組織的)会社に勤めていまして、いきなり日本法人の社長から、アジア旅行のついでに奥様と2人で日本に来るからアテンドして、と当時の上司が仕事を下ろされてしまい、さあ大変。失礼にならない時間を狙ってベバリーヒルズの豪邸(想像ですが、長年に渡って著作権収入だけでもかなりと思われる方ですので)へ突然、電話をして、???な状態から、いろいろお連れしますが、オープンセッションという形で日本の従業員とQ&Aでも、と交渉成功。で、次は「通訳よろしく」と一人だけ指さされ、焦りまくりました。

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2009年05月25日

妙な訳語がはびこってる!

 先週木曜日、NHK BS-1で朝7時台にタイ・バンコクから衛星生中継のレポートがありました。タイの政情不安に関して、かなりネガティブなレポートでした。そんな論調もどうかと思いましたが、すごく引っかかったのが、レポートをしていたアジア総局長・二村伸が使ってたホテルの【占有率】という奇妙な表現。ちょっと違います。

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2010年01月02日

『蛍の光』と『Auld Lang Syne』と新年

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 いきなりですが、通訳者として情けない瞬間はどういうときか、と質問されたら「常識」的なことを知らなかったとき、と答えると思います。

 そういう情けないの積み重ねで通訳者は成長するもの、と言ってしまえばそれまでですが、例えば『蛍の光』を英語でなんと言うか、といった超常識的なことが出て来ないときの情けなさや冷や汗は独特なものがあります。

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2010年02月05日

バラク・オバマの気になる "I believe"

 1月23日夜、NHK BS-1『BS世界のドキュメンタリー』で放送された「近くて遠い大統領 〜ホワイトハウス記者のジレンマ〜」("Full Access?")を見て、一昨年の大統領選挙中から気になっていたことが、頭をよぎりました。

 どうして、アメリカ国民は "I believe..." をしつこく無表情で繰り返す人物を大統領に選んだのか。

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2010年02月10日

「百貨店」と Department Stores

 アメリカに留学中、車ならすぐそばの K-Mart に電話で問い合わせたいことがあったので日本風に言うところの職業別電話帳で調べようと思って、困った事態になったことがあります。

 K-Mart って、業種は何なんだろう?

 日本だったら「ディスカウント・スーパー」と呼ばれるべき種別だと思いますが、そんなカテゴリー、アメリカの電話帳にはなく悩みました。うううう、本当に「業種」はなにぃ...と考え抜いて、Department Store で調べたら出てきて、驚いたことがあります。

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2012年05月20日

女性の「自己愛」を理解しない男性は地雷を踏む

 『ホンマでっか!?TV』出演者としても知られる心理学者・植木理恵の本を読み終わり、『中居正広の金曜日のスマたちへ』(2012年5月18日放送回)を見ていたら、あの勝間和代が番組の企画で悔し涙を流しているではないですか。

 それを見た瞬間、植木センセイの言われる「(がんばる)オンナの自己愛」を考えさせられました。プロフェッショナルな仕事の現場で、ガンコさを含む女性の感情は、男には扱いにくいもの。もちろん、オトコだって勝手な言い分を女性にぶつけていることもありますから、感情を出すこと自体が【女性特有】とは言いがたいのですが、そういった感情が出て来るツボと言い分は、女性ならではで、と男には感じられ、男にしてみると「え?」なタイミングだったりロジックだったりします。

 『金スマ』で勝間さんらにダイエット指導した俳優・美木良介は、彼女のあの上目遣いで睨みつけるような泣き顔や、数値での反論にひるまず自身のメソードの優位点を説いていましたが、尊敬します。クールに勝間和代の言い分を寄せ付けなかった度量は大人です。そしてあの場面は「他者愛」と「自己愛」とが火花を散らした瞬間でもありました。こういう火花は家庭でも職場でもやっかいなコミュニケーション上の問題です。

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2012年07月22日

映画『サウンド・オブ・ミュージック』は Politically Correct か?

 雑談です。

 タイが好きで何度も出かけていますが、かの王国ではシャムを舞台にしたトンデモ・ミュージカル『王様と私』は上演・上映が禁じられています。先日、初めてその映画版をDVDで見ましたが、あまりのひどさに途中から早送りにしてしまいました。特典映像で、アメリカでのプレミア上映会には当時の駐米タイ大使夫妻が招かれたとのことですが、さぞ驚いたことだと思います。私も『サヨナラ』の“ナカムラ”なる歌舞伎役者を筋肉質の白人(正確にはヒスパニック系)俳優が演じているのを見た時以来の、衝撃でした。

 ミュージカル『王様と私』は、作曲家のリチャード・ロジャースと作詞家のオスカー・ハマースタイン2世のアメリカ人コンビによって書かれたものですが、この2人は『サウンド・オブ・ミュージック』の作者でもあります。両作品に共通するのが、異国の話を英語の台詞と楽曲で表現していること。(そういう意味では『シュレック』シリーズと同じです。)

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2012年11月22日

『男はつらいよ』シリーズDVDの英語字幕

気になったのでひと言。

すべての作品を英語字幕表示では観ておりませんが、現在30数作を見終わりました。誰の英訳なのかクレジットが表示されないのですが、なにかと日本語の「嫌い」を "hate" と訳しているのがすごく気になります。

すごくこなれた訳文も散見され、英語としては悪くない字幕なのですが、いくら文字数制限があるとはいえ、hate は強すぎる気がしてなりません。なにせ hate crime の hate ですし、英英辞書を見ればその意味の強烈さが理解できるはずです。

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2012年12月29日

聞きたくない「口ぐせ」

 アメリカNBC『ナイトリー・ニュース』(現地時間・今月27日放送)によると、今年2012年版「Most Annoying Words or Phrases」のランキングは以下のとおり。

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