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「百貨店」と Department Stores

 アメリカに留学中、車ならすぐそばの K-Mart に電話で問い合わせたいことがあったので日本風に言うところの職業別電話帳で調べようと思って、困った事態になったことがあります。

 K-Mart って、業種は何なんだろう?

 日本だったら「ディスカウント・スーパー」と呼ばれるべき種別だと思いますが、そんなカテゴリー、アメリカの電話帳にはなく悩みました。うううう、本当に「業種」はなにぃ...と考え抜いて、Department Store で調べたら出てきて、驚いたことがあります。

 ほんのちょっとの「やっぱり」とわき上がる疑問。Department store って何?

 アメリカでは都会と呼べるような地区に住んだことはありませんが、ショッピング・モールに入っているお店など、日本のように自社ビルで8階建てではないにせよ、日本語で「デパート(百貨店)」と呼べるような店舗もあります。しかし、K-Mart や Wal-Mart のようなディスカウント店は、限りなくディスカウント・スーパーに近い存在。家電品や猟銃・拳銃まで扱っているとはいえ。(K-Mart なら、オイル交換など、オートバックスのような機能まで付いていたり。)でも、英語的には様々な種類の物品などを扱っているから、いろいろな department(部門、売り場)があるということで department store になるようです。

 ということは、日本だったら食品以外も扱っている西友やマルエツも立派な department store 。小規模な長崎屋だって。おそらくドンキホーテも!

 そこでややこしくなるのが、日本の田舎に住むアメリカ人が、その町や村に department store がある、と英語で書いた場合の和訳。食品限定のスーパーだったら supermarket となるのでしょうが、ちょっと大きな「よろず屋」的に寝具やおもちゃを扱った時点で department store なのですから。

 日本では法律上「百貨店」と呼ばれるためには各種基準があるようですが、いわゆる「デパート」となると明確かつ厳密な定義はあるようでないようで…。

 似たような非対称系(?)外来語に「コメディ」があります。

 今でこそ「ロマンチック・コメディ」という表現が日本でも定着していますが、それでも「コメディ」と日本語で言うと、おかしくて笑えるというイメージが強いと思います。しかし、アメリカ(英語圏)における映画のジャンルわけを見ると、日本人の日本語による感覚とのズレが見えてきます。古い例ばかりで恐縮ですが、『ローマの休日』や『卒業』は海の向うでは「コメディ」映画。要するにシリアスな「ドラマ」ではない、ということです。同様に、ゴールデングローブ賞はアカデミー賞と異なり、それぞれの賞カテゴリーがドラマ部門とミュージカル/コメディ部門とに別れています。

 また、報道の分野でも、アメリカなどでは速報(ストレート・ニュース)と掘り下げた報道(ジャーナリズム)とは別物扱いなのだとか。

 「外来語」と本当の英語の意味との間で仕事をするため、通訳者も翻訳者も、好奇心旺盛でないと、やってられないのですが、心の一方では正しい正当な日本語を話したいと思っていながら、もう一方では、この英語表現、早くカタカナで使えるようになればいいのに、などと思っていたりします。

 自分がはじめて社内通訳者になった頃、業種的なこともあったとは思いますが、まだまだ一般的な表現として「ロジスティック(ス)」が使われていなかった関係で、担当者と一緒に辞書で "logistic/logistics" と調べて「兵站?」などとやってました。日本ではなじみのないことも多くやっていた組織なので、気が付いたらいつの間にかロジスティック部門ができて、「ロジの○○さん」とか普通に話すようにはなりましたが。

 ちなみに、戦時中あらゆる英米表現からの外来語が禁じられていた時代でも、NHKのアナウンサーは「アナウンサー」のままだったそうです。今でも正しい日本語の使者NHKアナウンサーですが、そのアナウンサーを適切な日本語で表現する方法がアナウンサーしかないのだ、と考えれば、外来語だらけの通訳をしてしまっても、あまり罪悪感を感じなくてもいいのかもしれません。

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コメント (1)

tk:

英語ではK-MartとBloomingdale'sが同じカテゴリになってしまうのですね。西友と伊勢丹が同じというのもショックですが、伊勢丹も新宿以外はよろず屋みたいな店舗もあるのでまあそれでもいいかもしれません。

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2010年02月10日 05:55に投稿されたエントリーのページです。

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