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『蛍の光』と『Auld Lang Syne』と新年

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 いきなりですが、通訳者として情けない瞬間はどういうときか、と質問されたら「常識」的なことを知らなかったとき、と答えると思います。

 そういう情けないの積み重ねで通訳者は成長するもの、と言ってしまえばそれまでですが、例えば『蛍の光』を英語でなんと言うか、といった超常識的なことが出て来ないときの情けなさや冷や汗は独特なものがあります。

 いや、知ってても『Auld Lang Syne』の発音って、オールド・ラング・インだっけ…インだっけ、と逐次通訳中に考えてしまっても、情けない結果に終わります。(自分では後者だと思ってますし、バーブラ・ストライザンドもそう唱ってますし。)

 歌詞的なことはともかく、『蛍の光』ディスカッションに入ると困るのが、日本では『NHK紅白歌合戦』でも卒業式でも終わりに流れるようなイメージがあるのですが、英米人的には3・2・1・明けましておめでとう!と新年になった瞬間に流れたりすることもあるので、ビミョーな認識のズレが話をややこしくすることもあります。英語版ウィキペディアにも「"Auld Lang Syne" is traditionally sung at the conclusion of a gathering in Scotland and around the world, especially in English speaking countries.」とあるので日本と同じような感覚なのかなぁ、とも思うのですが、なにしろ『蛍の光』は苦労・苦学の歌詞、『Auld Lang Syne』とはちと違う。

 ちなみに先日、高校生向けの教育番組を見ていたら、『蛍の光』は実は4番まであって、その4番の歌詞は「千島の奥も、沖縄も、八洲の内の、護りなり、至らん國に、勲しく、努めよ我が背、恙無く。」(ウィキペディアより引用)と明治維新後に北海道開拓が始まったりして加えられたものがあることを知り驚きました。日本の『蛍の光』はそういった時代に「唱歌」として国が編纂したのが始まり、という歴史が感じられるトリビアでした。

 他にも年末年始系の歌にはベートヴェンによる『交響曲第9番「合唱」』の最終楽章から有名な『歓喜の歌』もあります。『蛍の光』ほどではありませんが、年末年始のイベントに使われることもあります。(例、映画『ダイハード』(1988年)。)クラシック音楽が好きな関係で、英語では『Ode to Joy』であることを知っていて助かったミーティングがひとつありました。高校のときの音楽の先生のおかげで、ドイツで唱えるくらい親しんでいました。

 アメリカでは独立記念日(7月4日)の花火といえば、なぜかロシア人作曲家チャイコフスキーがナポレオンによるロシア遠征にロシア帝国が勝利したことを音楽的に描いた『序曲1812年』がよく使われます。序曲といっても演奏会用序曲ですのでオペラなどが存在するわけではありません。日本ではクラシック音楽の愛好家や『Vフォー・ヴェンデッタ』での使用により映画ファンが知るところですが、アメリカでは多くの人が独立記念日の曲として知っています。

 その「1812年」、私は英語では eighteen-twelve という発音しか聞いた記憶がないのですが、興味あるのが今年「2010年」の発音。アメリカ・NBCテレビ『Today』の大晦日放送分をポッドキャストで見ていたところ、代理でホストを勤めていたレスター・ホルト氏が、自分はつい「twenty-ten」と言ってしまったけど「two-thousand-(and)-ten」かな、と発言。個人的には後者にしていただいた方がありがたいかな、とも思います。前者だと無線交信のコードみたいし、英語出しで「twenty-ten」と言って「?」な顔を(特にノン・ネイティブから)されないためにも。

 …と書いてアップロードしようとしたところ、さっそく同じくNBCテレビ『NBC Nightly News』でネット上では「twenty-ten」派と「two-thousand-(and)-ten」派がバトルを繰り広げていると報道していました。要するにどちらでも正解なんだけど、ネイティブ・スピーカーでもそれぞれの感覚や経験などによって異なる意見が出ているようで。前派の主張は、ワード数もシラブル(音節)数も節約になるし、「1812年」を eighteen-twelve と発音するなら―、というものだそうです。

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2010年01月02日 15:20に投稿されたエントリーのページです。

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