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社内通訳者に最適な?通訳演習用テレビ番組

 通訳訓練やシャドーイングにNHK BS-1で放送されているアメリカのABCやPBSのニュースを利用されている方もいらっしゃると思いますが、社内通訳(志望)者の方のお勧めするのがビデオ・ポッドキャストで視聴可能な『The Suze Orman Show』です。ケーブルテレビやスカパー!などでも英語放送番組の『スージー・オマーン・ショー』として日経CNBCチャンネルで視聴可能だそうです。

 最近、証券業界で働く友人から彼女のことを教えてもらい、iTunesで同番組をダウンロードして見るようになったのですが、なぜだか某アメリカ系企業で社内通訳をしていた頃のことが思い出されました。個人的には、彼女のようなボスに仕えたことはありませんが、他部署では1人2人いました。そのうちの1人からは退職後(転職後)も、私の通訳しない?コールがありました。しかも、理由が「よく通る声」で決してスキル・レベルや業務態度などではありませんでした。ま、そんなことはどうでもいいのですが…。

 番組は基本的にSuze Orman1人がスタジオでカメラに向かって話しながら彼女のアドバイスをhigh-pitchedに話したり、視聴者からの電話やメールによる質問に答える形式なのですが、視聴者からの質問への回答が、彼女が常に主張していることを繰り返し言わせるような内容です。アメリカ人の管理職や役員に付いて、日本人のカウンターパートや実務者とのミーティングで通訳する内容の多くは、繰り返しであることが多いのです。具体的な内容として繰り返すこともあれば、考え方や基本的な方針の繰り返しであることもあります。繰り返しであっても、丁寧かつプロフェッショナルに話すことがある意味当たり前のアメリカン・ビジネス(?)において、繰り返すコメントでもプレゼンテーションでもめげずに丁寧にきちんと通訳することは大切です。

 内容的に繰り返しが多いということは、2〜3回視聴すれば専属的に通訳業務を行なうようにanticipationができることを意味します。また、Suze Ormanは計算した上で擬似的に感情的になることもありますし、高揚して声が大きくなることがありますので、そういった状況でもクールに通訳を続ける訓練になることでしょう。また、社内通訳者として管理職以上の人に付いたら、セクハラを含むパーソナルなことがらを通訳するような場面もあります。彼女はファイナンスの問題だけではなく、失恋や離婚、挫折感の裏返しによる浪費など、パーソナルことも質問していきますので、時にはそういった場面における日本語表現の訓練にもあるでしょう。

 彼女の話し方は、いかにもアメリカ人管理職/役員のような話し方なのです。(あくまで私見になりますが。)ちょっと早口なので、ウィスパリング訓練にはいいとしても、同時通訳の演習にはちょっときついかもしれませんが、ポーズ入れながらの逐次通訳の訓練でもいいと思います。また、英語や英語発言のニュアンスをいくら英語で理解できるからといっても、それらを理解しない日本人に通訳をしながらメッセージの本質的なことや本当のニュアンスを伝えることは、必ずしも簡単なことではありません。Suze Ormanは時に、言葉ではなく表情でメッセージ(本意)を伝えることもあります。実務レベルの少人数ミーティングでは、non-verbalなメッセージが入ることもあります。正確な訳だけではなく、ニュアンスを伝えることも必要とされる現場で通訳をしたり、通訳者となりたいと思われる方は、ぜひとも『The Suze Orman Show』を見て、シャドウイングから始め、通訳演習に使ってみることをお勧めします。

 同番組は視聴者からの電話による質問が多く、電話会議の演習にもなります。視聴者はみなさんアメリカ人ですので、インド人とのテレカンに苦しめられている通訳者の助けにはなりませんが、電話の音声から数字などを拾うだけでも初心者にはかなり効果的だと考えます。画面には、視聴者からの質問や事実関係の内容を箇条書きしてくれますので、数字を間違って取ってしまった場合など、すぐにわかりますし、最初は音だけを聴いて、通訳演習する際に画面を見ながらすることも有効な演習法でしょう。

 話す内容はマネー関係で、年金や財務的なことが多く、アメリカ特有の用語もありますので、関心の持てない人もあるかと思いますが、社内通訳者として経営会議などの通訳をする場合、401kなど年金関係の話もありますので、初心者ならずとも参考になるかと思います。

 1回の放送が正味44分前後ですので、部分的にでも演習してみることをお勧めします。社内ミーティングのような番組内容だと思うのは、あくまで私見ですが、国際会議の通訳というよりは社内通訳業務やビジネス通訳のためにニュース番組だけではなく、情報番組のようなものも演習に取り入れたいと希望する人にはお勧めします。確かにニュースで語られるような重要な用語などをおさえておくことは社会人として当然のことなのでしょうが、社内通訳者として必要なスキルは、同時通訳ブースに入って声だけで仕事をするようなハイレベルなスキルとは異なる次元に存在します。それだけにSuze Ormanを自分のボスだと想定し、会議の参加者や自分が彼女を好きと思う思わないはともかく、彼女がどれだけ自分の発言を適切に通訳し、相手に伝えているかで評価されるのだ、と考えて練習してみれば、未経験者でも社内通訳者になったら…を多少は想像できるようになると思います。

 通訳演習に使わないにしても、自分のようにお金のことを考えるのが苦手な人には、参考になる番組です。

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コメント (4)

TK:

私もスージー大好きです。日経CNBCで日曜の朝2時からの番組を録画して見ています。一度Can I afford it?コーナーで、死んでしまった愛犬のクローンを韓国で10万ドルかけてやりたいとスージーに質問したバカな人がいましたが、なんとスージーに承認されてしまいました。

通訳の訓練としては、発音は明瞭だし、年金や財テクの知識も身につくし、今のアメリカの借金まみれの庶民の生活が垣間見られるので内容的にも面白いと思います。

私が通っていた通訳学校では生徒が教材を持ち寄る機会があり、一度通訳学校のクラスでこれを教材にしようかなと思ったのですが、さすがに内容がカジュアルすぎて断念しました。

Yoshi:

TKさん、コメントありがとうございます。このように肯定されるとは思ってもなかったので、うれしいです。

通訳学校の教材って…、今回はやめておきます。

スージーがお金の話をしていて支持されている理由のなかに、彼女の白い歯と完璧な歯並びがあると思います。昨年、留学経験者として留学希望の20代男性とお話しする機会がありました。リーマン・ショック後だというのにアメリカ留学して卒業したらニューヨークで【裕福層】を相手に金融の世界で活躍したい、と言った彼の歯が白くなく、歯並びもかなり悪かったので、もしアメリカで裕福層を相手に投資などのアドバイスするなら歯を直したほうがいいよ、と教えてあげたら音信不通になってしまいました。そんな彼にも見て欲しいスージーの番組ですが、日本男児ですから、彼女の金髪や青い目ばかりを見てしまうんだろうなぁ。(ちなみに彼女はレズビアン。)

TK:

アメリカ人が不思議なのは、あれだけ歯並びにこだわるくせに、自分の腹回りのサイズにこだわらないのはなぜでしょう?

歯並びを人工的に調整するののら、腹回りも調整すればいいのにと思います。

アメリカでは太っていると管理職になれないとはよく言われますが、小錦並みとはいかずとも大乃国親方並みの管理職は結構います。

Yoshi:

そうですね、アメリカの住宅には大きな鏡がデフォルトで付いていることも多いのですから、気付け、と思わないでもないですが、人/国民それぞれ見えてないところはありますね。

肥満だからと差別したら人権の問題ですが、歯並びは個人の問題、と区分もあるからでしょう。

米軍基地へ行くと、若くて細い兵士がおデブな民間人を守っている縮図が見られます。

今日はThanksgivingですから、たっぷり飲み食いしていることでしょう。アメフト中継でも見ながら。

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2009年11月25日 05:05に投稿されたエントリーのページです。

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