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妙な訳語がはびこってる!

 先週木曜日、NHK BS-1で朝7時台にタイ・バンコクから衛星生中継のレポートがありました。タイの政情不安に関して、かなりネガティブなレポートでした。そんな論調もどうかと思いましたが、すごく引っかかったのが、レポートをしていたアジア総局長・二村伸が使ってたホテルの【占有率】という奇妙な表現。ちょっと違います。

 ホテルの客室稼働率のことを occupancy rate もしくは occupancy と呼ぶのですが、おそらく occupancy につられての誤訳と思われる「占有率」という訳語がはびこっているようで、グーグルで「ホテル占有率」と日本語で検索すると、今日現在、7万件を超えるページがヒットしてしまいます。

 市場や商業用スペースの床面積であれば「占有率」でかまわないのですが、総客室数に対して宿泊客が何室を利用していたのか、という occupancy rate は、「(ホテルの客室)稼働率」、もしくは「利用率」としか訳しません。(市場占有率であれば、マーケットシェアとなるはず。)

 同時通訳した会議の議事録を英訳したものをチェックする過程で、"occupation rate" とあったものを”occupancy rate” と訂正させていただいたことはありますが、英訳系誤訳から派生したと思われるホテルの「占有率」なる、トンデモ表現がこれだけ蔓延しているとは思いませんでした。というか、ここまで蔓延してしまうと、「占有率」という全くメイクセンスしない用語が、そういう用法もある、となってしまうのではないかと心配になります。

 メディアはかつて、アメリカ大統領選挙などで使われる圧勝を表現するメタファーである landslide(地滑り)を「地滑り的な勝利/圧勝」などと妙な訳語を作ってしまいました。確かに、It was a landslide victory. などとも言いますので「地滑り的」と言いたくなってしまったのでしょうが、圧倒的と訳せば済んだことで、なにも〜的と新語を作って、しかも定着させることにするとは、愚かです。

 英語では、economic war といったようにメタファーがカラフルに使われます。「経済戦争」と直訳してくれているうちはいいのですが、「経済的戦闘状態」などとしたら誰でも、おかしい、と思うだろうと考えますが、ホテルの占有率は、おかしい、と思う人が極めて少ないようです。

 われわれ通訳者や翻訳者は、自分が使おうとしている英語表現をネット検索で調べて、.jp の付くサイト以外でどれだけ使用されているかを参考にすることも多々ありますが、ホテルの【占有率】だけは、どれだけヒットしても誤訳ですので、お気を付けください。

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2009年05月25日 23:47に投稿されたエントリーのページです。

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