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2008年08月 アーカイブ

2008年08月02日

フリチン通訳

 これまでの通訳業務で一番ヘンなシチュエーションは?と訊かれれば、温泉で全裸通訳したことです、と答えます。某アメリカのネットワークTVスポーツ部門からトップが視察のため来日され、温泉を体験されたいとのことで英語を話さない日本人担当者と一緒に入浴し、説明などを通訳しました。温泉は初体験の社長さんでしたが、野球選手でもあったので温泉での入浴が体にいいことは理解されていたのでラクといえばラクでしたが、冬期ならではの湯煙と屋内の浴室独特のエコーがかなり入っていたことは覚えています。

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2008年08月05日

有名プロ通訳者の共通点?

 最近、とあるプロ通訳者(女性)が数年前に書いた本を読ませていただきました。自慢話がある一方で、苦労した経験も書かれているのですが、はたして社会人として書くべきようなことなのか疑問なトピックもありました。通訳者になることや通訳業に興味がある人が読むような内容とはいえ一般書籍ですので、分かりやすいエピソードも必要なことだと思います。しかし、どうして女性がトイレや膀胱炎に関する体験談まで書くのか不思議でなりませんでした。

 その直後に読んだ別のフィクションの本を読んでいて、苦しみにのめり込み、苦しみを自慢したがる人達に関する記述があり、そういうこともあるのだろうな、と思いました。

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2008年08月07日

通訳業は水商売

 通訳者に水は必要です。これに異論がある人はいないと思いますが、誰がその水を用意すべきなのか。この点については意見の相違があるようです。

 個人的には、クライアントが水を用意すべき、と高慢なことを通訳者が宣う現場に居合わせたことはないのですが、通訳者が水をめぐって不用意な発言や宣戦布告、はたまた国交断絶をしてしまったようなエピソードは聞きます。

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2008年08月15日

マラーニ著「通訳」

 ディエゴ・マラーニ著「通訳」(橋本勝雄・訳、L'interprete Diego Marani)という幻想系サスペンス小説を読みました。物語はとある通訳者が同時通訳業務中に異常をきたすようになったことから、上司にあたる主人公が異常の原因を探るというヨーロッパを舞台にした言語ミステリーでもあります。

 著者のマラーニ自身、通訳者でもあるとのことですが、この小説では一貫して通訳業なんぞ「不健全な行為であり、精神が不安定になるにきまっている」、通訳者は「風変わりで不健全な人種」などと形容しているのが自分には非情に健全に思えました。通訳というよりは、外国語を操ること事体が不健全である、というのがこの作品のトーンでもあり、内容に深く関わる前提でもあります。

 サスペンスでありミステリーでもあるのでこれ以上の説明は控えますが、たかだか民間のスクールで教えているだけで権威主義的な態度を取る日本の一部通訳者は、ヨーロッパの多言語共存環境から生まれたこの小説にどう反応するのだろうか。

 故・米原万里さんが、英語の同時通訳者ほどつまらない人達はいない、と辛辣に批判していた意味が少し理解できた気がします。視点(通訳対応可能な言語の数)が限られている絶望と、視点が常に複数ある絶望では、転じて福となりえるのは後者のみである、という多元主義(?)の奥深さも覗いたような気になりました。(自分もこれを機会に、興味のあるフランス語とアラビア語でも勉強するようにしないと…。)

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