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とあるコメントへの返信(2)

 昨日のエントリーに対して再度、コメントをいただきました。わざわざ気にかけていただく程の価値があるブログでも人間でもないのに、メッセージを書く時間をとり、送信したいただいたことに心より感謝いたします。

 さて、私が責任感が強すぎるのでは、というご指摘も全くその通りでして、自分でもどうにかならないかと思ってます。冗談が大好きで、高田純次のDVD「適当伝説」をいち早く買って、大笑いしながら見るくらい「適当さ」にはあこがれています。社外会議だとネクタイ締めないし、クールビズが始まると人より早く適当な服装になって若い女性社員から「リストラになったおじさんみたい」と言われるくらいで、通訳が仕事だと知らない人が見たら、かなり???な存在だと思います。

 でも、通訳に入ってしまうとスイッチが入ってしまうようです。だから余計に疲れます。コメントされた方は本当によく見抜いていらっしゃいます。近所にいい整体師さんがいるので、つい、そういう方法で解消してしまうのも、場合によっては、よくない方法なのでしょう。

 ただ、偶然ですがつい先日読んだビジネス本に、スイッチON/OFFじゃなくてハイ/ローでいいじゃないか、と書いてあり、なるほどな、と思いました。通訳者にも言えてることだと思います。通訳業務から離れていても、いま聞いた/見た言葉、英語でなんて言うだろう、と気になるのが職業病。おそらく通訳稼業から足を洗っても抜けない「病」でしょう。

 SOSの件、よくわかります。去年とあることがあって、SOSどころか海上保安庁と首相官邸が出てきたこともありますので。(比喩です。詳細は書けません。すみません。)

 エージェントの件もわかります。ただ、資料が出ない場合に、この用語集を読んで、あとはウチの会社のホームページを読んできてください、と指示を何度も出しました。現に、資料がなくても用語集をかなり読み込んで来られた通訳者のパフォーマンスが、資料だけに目を通して用語集を軽視した通訳者のそれよりも高かったことを目撃してますので、心の叫びとしてお願いしているのが、願いはかなわないことが多いようです。下手な比喩ですが、資料という「木」だけを見て現場入りする通訳者よりも「森」という全体像を見てから現場入りする通訳者の方が能力というか感性として正しいと思うのです。もちろん扱う製品やサービスといった個々の「木」を見てきてくださる必要もありますが、会社のモットーは、大切な価値観は、そして何よりコア・ビジネスがなんであるのかを理解している人の方が通訳も分かりやすいし筋が通っています。

 別な言い方をすれば、通訳案件をプライドだけでこなしに来られる方は、社内会議を進めたいだけの側から見ると迷惑だったりするのです。一部通訳者は、通訳は通訳と、内容がなんであれ、目的がなんであれ、言われたことを訳すことに徹していられるように見受けられます。それはそれで悪いことではないのですが、会社の側から見れば、あくまでひとつの会議。形だけ開催すればいい、から重要課題の解決まで、目的はそれぞれあるのですから、雰囲気も含めて通訳者には読んでいただきたいとも思います。ちょっと無理かもしれませんが。

 こんなことばかり書くと「鬼」みたいな奴だと思われているのでしょうが、外部の通訳者が無理なところは社内にいる自分が担当しますし(フリー通訳者が沈没するするのを観察するようなゲスな輩ではございません)、誰さんは早口なので全部訳さなくてももかまいません、など、結構いいかがげんさを奨励することもあります。あまりいいかげんさを奨励すると、「たすかりました」とエージェントにコメントする人がいる一方で、不満に思われる方もいるとは思います。でも、全員をハッピーにするなんて最初からあきらめてます。

 このブログで喧嘩を売る気はありません。同業者に開示できないようなことを書くつもりもありません。でも、ひとつの視点を貫くことは、ハッピーでない人も作ってしまうこともあるかと思います。ハッピーでない人から揶揄されることも将来あるかもしれません。しかし、男性で通訳者、という、いまだにアホなオヤジには格好の揶揄ネタ(?)を体現して生きている者としてみれば、言わせておきたい人には言わせておけば、と考えています。

 通訳者として未熟なのに他の通訳者に批判的なことを書いて、と心配される気持ちもよくわかりますし、ありがたいのですが、私の書いていることを「批判」ととるか「改善のヒント」として読むかはその人次第だと思っています。上記の用語集にしても、何人も見てきた経験として書いていることであって、共感してくださり更に伸びる人はどんどん伸びて、どんどん指名を得て欲しいと思いますし、「用語集があっても会議資料が無いと通訳なんかきちんとできるわけねぇだろう」というような考えの方は、猛烈な性格でも仕事が来てしまう超トップクラスになられるか、日本以外のどこかに存在するパーフェクトワールドなりガンダーラかユートピアででもお仕事をされればいいこと。

(あー、一言多いですね、私は。)

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コメント (1)

ミッキー:

水面下(舞台裏?)ではずいぶんと活発な議論が進んでいるようですね。

事前資料を必須条件とされても提供できない場合もあるでしょう。また
発注者が通訳者に期待する基礎知識として専門分野の知識もあると思います。それも発注する際に条件を提示して人選するしかないですよね。

直訳派と意訳派っているでしょう。社内会議の場合は、意訳派の方が発注者の期待に沿っていることが多いかもしれません。専門用語を多少補足説明したり、行間を汲み取った意訳をしたり。スクールや流派によっては厳禁とされることであっても、現場では意訳、超訳の方が歓迎される場合もあると思いますよ。でもデポジションや契約交渉などにおいては、直訳に徹底する必要があるでしょう。だから、TPOに合わせて使い分けをするというのが重要だと思います。

発注者の立場に立ったことがある通訳者はそれなりに自分のパフォーマンスを客観視できると思っています。このブログを書いていらっしゃる通訳者と一緒にお仕事させて頂く機会があればいいなあと思います。私は社内通訳ではありませんので、その大変さはわかりませんが、頑張ってよいお仕事をなさってください。

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2008年04月05日 08:04に投稿されたエントリーのページです。

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