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とあるコメントへの返信

 つい先ほど、このブログの内容、特に具体性についてコメントをいただきました。一部、かなり批判的な文面でもありますが、お世辞抜きに心より感謝いたします。

 あえてコメントをそのまま掲載しませんが、心のこもったご意見ですのでエントリー(書き込み)の形でお答えしたいと思います。

 まず、最近の内容が荒れている、という部分ですが、正確に見抜いていられます。早速ですが一部、削除やリライトさせていただきました。

 また「下手な翻訳者」があまりにも具体的すぎる、とのことですが、あれでもかなり控えめにしたつもりです。ただ、具体例がないとどれ程ひどいものか理解していただけない部分もあるかと思い、あえて例を数件あげました。エージェントの営業担当者には対面でクレームしました。あんな使い物にならない英訳でも、いったん作業をさせてしまうと下請け法の関係で受け取り拒否はできませんので、そういった意味での怒りも露にして抗議しました。品質管理があまりにも杜撰だからです。(余談ですが、知り合いの同業者は身近な問題にもかかわらず、あのエントリーを読んで、かなりウケていました。)

 あのような指摘をすることで自分の価値を高めたり、能力を誇示しようとは思いません。普段でもそうですし、このブログを今一度お読みくだされば分かることと思いますが、私があえて指摘しているのは、基本的なことができてないのに「プロ」として仕事をされると、周りに迷惑をかけることがある、ということです。何も経験の浅い人に来られると困るとかそういう話ではありません。“下手な翻訳者”の場合、基本的な英文法ができていない上に、ちょっと調べれば分かるようなことを調べないで、事実や慣例などを無視して自分の感性だけで翻訳されたとしか思えないものでした。また、間に入ったエージェントも納品前のチェックなどを全くおこなわないで(ネイティブ・リライトの意味ではありません)スルーさせているだけで手数料をもらおうなんて、芝居なら悪役の鑓手婆ですよ。

「プロ」じゃない仕事をされると迷惑な最大の理由は時間が余計にかかること。社内で、あるいは自分では時間的にできないからこその《外注》で「プロ」の仕事である、との前提でそれなりの支払いをさせていただくという理解で発注しているのですが、外注したために余計に時間がかかるのであれば本末転倒。外注の翻訳がイマイチなのはどこでも同じで完璧を求める方がよくないのは分かります。でも、赤を入れる程度の直しで済むならともかく、基本的な英文法や定訳の指示までしてたら、それは校正ではなく通信講座。そこまで暇な会社なら最初から社内で訳すか、翻訳の方を雇います。

 あのような指摘をして、あの翻訳者が見て反省するとは思っていません。あの程度の英語力であれば、これまでの人生で、自分の英語が通じなかったり、思うように英語が出て来なかった経験は一度や二度ではないだろうに猛勉強するなど努力をされてこなかった結果があの程度の英語力なのだろう、としか思えません。(辛口ですみません。)

 また、あまり指摘するとプロの翻訳者志望者に悪影響を与えるのでは、という懸念についてですが、私は何も完璧でなければよくない、とは言っておりません。プロ通訳者であれば完璧をめざしながらも完璧ではない自分をどう向上させていくのか、という永遠の課題と取り組むものだと考えておりますし、スクールでも同業者もそのように言われたり行動していますので、私の前提はそこにあります。ただ、お金を貰って仕事した時点で「プロ」になるのですから、勉強とは異なり「プロ」になった瞬間、直接・間接的に関係する人数(すなわち労働時間数)も増えるのです。「プロ」なのだから上手に出来て当たり前、そうでなかった場合にどれだけの人に迷惑をかけることになるのか、といったことを考えて欲しいものだとは思います。

 若い人を育てよう、という気はあります。実際、事前に勉強して来ないトップクラスよりも、やる気のある若手かプロとしては経験年数の浅い人を使ってみたいと某エージェントに何度も繰り返しお願いし、嫌がるエージェントを説得して一度だけ差し障りの無い案件に呼んだこともあります。結果的に、熱意は感じられても、余裕をもっての発注にもかかわらず事前の準備があまりできていなかったため、一度だけとなりましたが、完璧や経験だけを求めているようなことはありません。ただ、いくら自己裁量権が与えられているとはいえ、会議に参加して同時通訳を必要とする役員からクレームを受けたら私の責任になりますので、「プロ」ならば、自分が満足できるパフォーマンスをするのではなく、クライアントに納得してもらえるような仕事をすべきなのです。仮に大失敗したとしても「しかたがない」と発注者が納得なり同情できるようならばセカンド・チャンスだって、担当者のフォローだって自然と生まれてくるものと考えます。

 Outolookの件ですが、言い過ぎはあったにせよ、もう15年以上もビジネス用コンピューターにはデフォルトでインストールされている機能なので、活用することによって、誤解や時間の無駄遣いが省ける「確認」ツールとして使用することは奨励されるべきだと考えます。確かに会社によっては、この機能が使えないとスケジュール管理が事実上不可能なのに、会社によっては、ほとんど個人の電子手帳状態だったりと温度差があることは確かです。でも「ありがとう」と一言いえない人を尊敬することはできません。

 私が発注したエージェント担当者は、私のことを大なり小なりうるさい奴だ、と思っていることとでしょうが、エージェントやクライアント、はたまた一緒に同時通訳ブースに入った通訳者に関して意見やクレームを言う同時通訳者の迫力に比べたら、ヒヨコのようなものではないかと思ってます。ただ、殻の中にだけ入っているわけにはいきませんので、言うことは言いたいと思っています。通訳者が何人もいる会社では、ブログなんぞで発表しなくても「なかよし通訳食事会」や「女子トイレ会議」で通訳の品評会(格付け)や誰を辞めさせようか、なんて恐ろしい話がされているようですし、通訳者を含むバイリンガルに理由の無い敵意むき出しのプライド&偏見のかたまりでしかないお局・小局の鑓をかわしたり、と通訳の世界は平和とはほど遠いのです。余談ですが。

 確かに天狗になるつもりはなくても、誤解されないように注意すべきでしょう。しかし、通訳関係の本、雑誌など、建前的な情報が氾濫する中で、語られていないことが多いように思います。通訳者となるための適性としてサービス業であることを忘れるな、とは多くのプロ通訳者が語っていることですが、では、実際の現場ではどういうことであるのか、というところで、現状を少しでも一通訳者として、また発注者側(クライアント側)の視点で語っていければ、と考えております。

 言われるまでもなく、同業者の批判は避けるべきです。控えるべきでしょう。しかし「プロ」の仕事をしていない人を同業者と呼んだり、そういった人達と一緒にされるのは、非常に不愉快なことであることも、あえて申し上げます。不愉快な程度であれば、言わない方がいいのかもしれません。ただ「下手な翻訳者」のように業務上、被害者となっている件については、一言いわせていただきたいのが人情であるのもご理解ください。また、業務上、会議参加者に迷惑がかからないように配慮しなくてはならない裏方としての事情もお察しください。

 暴露が目的のブログではありませんし、通訳者としての守秘義務の重要性は十分に理解しているつもりです。ただ、現実はこんなもんではありません。人前でモラル・ハラスメントまがいのすごいことを言われたり、能力がなくて皆が迷惑している通訳者なんだけど、年齢や性格的なところで誰も何も言えなくて、結局は本来であれば「お客さん」の側が気遣いさせられたり、等々。

 長くなりましたが、メールアドレスが分からないため、このような形で返信いたします。

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2008年04月04日 08:45に投稿されたエントリーのページです。

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