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2007年09月 アーカイブ

2007年09月05日

同時通訳者によるモラル・ハラスメントと“自己愛的な変質”

「モラル・ハラスメント」(マリー=フランス・イルゴエンヌ・著/高野優・訳)を読みました。その本には“通訳者”なんて言葉は出てきませんが、モラル・ハラスメントをしてしまう加害者に関する分析が、まさに一部のハイレベル・プロ通訳者のことでもあって驚きました。
 以前、国際会議の通訳コーディネーターから聞いた話もまさに通訳者がモラル・ハラスメントする話だったし、実際、自分がオーガナイザーの立場から見たトップクラスの通訳者たちもそうでした。

セクシャル・ハラスメントでもモラル・ハラスメントでも、加害者は相手を自分の論理にひきこみ、相手の持っている常識的な論理を歪めようとする。また、被害者がどれほど悪い人間であるかを強調して、もしそうなら非難されるのは当然であると、まわりの人間に思わせることに力を注ぐ。そうやって、時には仲間をつくるのにも成功する。そうして、道徳をないがしろにするような歪んだ価値観を広めていきながら、その仲間たちに常識では考えられないようなことをさせてしまうのです。(p.207;太文字は原典では傍点)

 これは通訳エージェントにも言えることですが、資料が(ほぼ)完璧に揃ってないと通訳が出来ない、と言い切る通訳者は多い。レベル設定が高ければ高い程その要求プレッシャーはすごい!事前資料があった方が通訳しやすい可能性=通訳アウトプットの質が高くなる可能性が高いことはよーく分かります。でも、会社なり組織というものは、外部通訳者の言うことを聞くために仕事をしているわけでもなければ、情報漏洩防止の観点からも、事前にメールやファックスなんぞで送ったらいけない資料だってあるんです。「資料ないんですか?」と丁寧にクライアントに直接訊く通訳者はまだかわいい方で、同行のコーディネーターに言わせるなんて朝飯前。とになく、事前に資料が完璧に出ないことは罪深い、ということを擦り込む行動パターンはモラル・ハラスメントの一種と呼んでいいでしょう。

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2007年09月26日

昨日(さくじつ)と昨日(きのう)

 東京MXテレビで毎週金曜日に放送されている石原慎太郎都知事の定例記者会見は、見ていて単純に面白い番組です。ニュース番組で同時通訳の練習をしている通訳者もいるかと思いますが、もしかしたら石原知事の記者会見もいい教材かもしれません。
 また、石原知事の作家として政治家としての日本語が堂々としているのに比べて、有名新聞や民放の記者の日本語がおかしいので、時には笑ってしまいますが、通訳者として明日は我が身と気を付けるべき表現を学ぶことにもなります。(考えながら伝わるように話すのが仕事、という点では、ある意味「同業者」なのかもしれません。)
 先週の会見で、某民放の記者が「きのうなんですが…」と質問を始めたため、石原知事が「?」な反応をしていました。「昨日(さくじつ)」と言えば回避できた「?」のように思えました。自分も通訳の際には注意します。

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