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下手な翻訳者

会社で日本語冊子の英訳を発注したら、ひどい英語の翻訳として納品されました。

とにかく英語がヒドい!中高生が正しく知っているような英文法の間違いが多い!Googleなどで検索すれば、自分の創作文法が間違いであることが容易にチェックできることをその翻訳者は知らないらしい。日本語もひどくて、ちょっとネットで調べるか、ワードに入力して選択して右クリックすれば読み方が出て来るような簡単な地名も間違えているのです。

スクールをはじめ、日本の通訳・翻訳業界には帰国子女蔑視の傾向がありますが、神話の世界から古語としても固有名詞として珍しくもない地名の読み方も知らない留学非経験者にプロとしての価値がどれほどあるのか疑問に思う機会が多い今日この頃。今回発注した出来の悪い英訳の翻訳者を「留学非経験者」と決めるつけることはよくないですが、彼の英語を読んでいてまともな正規の英語圏学部留学した人とは思えないのです。自分が高校生だったころのリーダーの文章みたいな効率の悪い関係代名詞と "of" だらけの英語。

納品された英訳のごくごく最初の部分だけチェックして赤を入れて業者に戻したところ、結局、請け負った翻訳者が「勉強のため」再度翻訳するとのことですが、「男性20代」を"Male in the 20s"(「20年代の男性」の意味。しかも20sはミススペル。正しくは20's。)と何度も訳してました。まともな英語のセンスなんか無いし、「プロ」と呼ぶ価値も質もなし!

「勉強のため」というのもクセモノ。仕事を甘く見て、現場入り前に資料などをきちんと読み込んで業務に反映できなかったアホなプロ通訳者もよく、「勉強のため、用語集をいただいてもよろしいでしょうか?」と業務終了時に言ってくれたりします。自分が許せないのかクライアントが満足してないのを嗅ぎ取っているのか、プロとして言い訳にもなってない言い訳を眉ひとつ動かさずに言える図々しさのがプロであるとでも思っているのでしょうか。

【プロ】の定義は色々あるのかもしれませんが、仕事を引き受けた時点でプロとしての仕事が出来る人、現場入りする前にプロとして仕事をする準備が出来ている人のことだと自分は考えます。その前に最低限の基礎スキルを有する、というのもあると思うのですが、それさえ持ち合わせない社会人以前の問題を抱えている【プロ】が日本には多い!東京でこれですからね。地方ではどんな状況なんでしょうか。

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コメント (3)

ミッキー:

おっしゃる通りですね。業者は少しでも安い翻訳者を使おうとして、駆け出し以前の「自称翻訳者(修行中)」の人達を使うこともあるようです。翻訳でも通訳でも、発注者が成果物のできばえに対して、ちゃんと評価を出すようにならないと、通訳や翻訳のレベルは上がらないでしょう。満足された時は「よかったです」と言って欲しいし、NGを出したくなる場合には、すぐにクレームをつけ、料金を調整してもらうこと。私は下請けを使う時には、必ず顧客からクレームが付いた場合には通訳翻訳料が減額されることもある旨を条件につけるようにしています。商品だって不良品は返品交換の対象になるのに、通訳や翻訳はそれ以下のレベルですよね。でも通訳はやり直しが利かないし、翻訳は同じ翻訳者がやり直したのでは効果なし。締め切りの関係上、やり直しできない場合も多いし。困ったものです。

匿名:

「東京でこれですからね。地方ではどんな状況なんでしょう」業界の現状に無知な通訳会社社員がよく言う言葉です。東京の方が通訳者等の数が多いだけ玉石混交だったりするのですよ。質の良くない仕事しか目にされていないのは、お気の毒ですが、自分が見聞したことだけをもとに一般化してしまうのは、優れた通訳者としての資質に欠けるのではないでしょうか。

Yoshi:

匿名さま、

コメントはありがたく頂戴いたしますが、以前は地方で稼働でしていたことがありますから、主に県庁相手に仕事している人たちが(当時ですが)どういうレベルなのかは実体験でよく理解しています。もちろん、地方在住=低レベルなんて失礼なことを述べるつもりはありません。関西でも高いレベルでほれぼれとするようなSクラス通訳者のお仕事を聞かせていただいたこともあります。関西の方であろうに、西日本的なイントネーションもなく超一流でした。

現場でも、こういうブログのような場でも、プロの仕事としておかしい、と指摘すると、指摘した方が非難されるという妙な現象が起こるようです。

まったくの他人が、中高生でも知っているような文法や用法でさえも正しく使えていない、とプロとしておかしいでしょう、と指摘されているだけなのに、まるでご自身か親友が酷評されているかのようにムカつく人はいらっしゃるようです。

このエントリーは、ひどい翻訳者とそれをチェックできないひどい会社のエピソードであって、全ての会社(東京であろうと地方であろうと)がそうだという指摘ではありません。ただ、そういった無責任な自称翻訳者や企業が存在することだけは確かである、ということです。

自分が見聞したことだから書けるのです。知り合いから聞いた話で結論を導いたことではありません。ただ、通翻訳が「特殊技能」のうちに入ることから、それをいいことに、力量が無いのに長文の英訳を引き受ける日本人英訳者もどうかと思いますし、チェックしきれないのに英訳の仕事を引き受ける企業もどういうものか、という批判を私にはする権利があります。実際、迷惑を被っていますので。「一般化」するつもりはありませんが、他のプロ通訳者の業務態度を見ていても、レアケースとは思えません。

通訳者であれ翻訳者であれ、限られた能力や才能ギリギリのところでがんばっている人たちと、そうでない人たちがいます。前者のタイプは、批判される前に自分の状況について言い訳をしたり第三者に対して攻撃的になったりする傾向がありますから、社内通訳者の場合、取り扱い要注意です。自分の努力がマックス、だという理由で他人に正当な批判さえされることを拒否し、下手すると同僚通訳者へのイジメや政治的な駆け引きの方が本業よりも上手になってしまったり、という企業も見てきました。

しかし、企業間(発注元企業と翻訳請負企業)でプロとしての仕事をする、と受注しておきながら、プロ以前の仕事を「納品」されても発注元としては困るのです。こういった発注業務と納品管理は「通訳者」としての仕事ではなく、「社員」として担当している部分ですから、社員として会社のカネをどう使うか、ということになります。

東京だろうがどこだろうが、通訳者も翻訳者も玉石混合。そんなことはわかってます。でも、プロとして最低限のレベルというのはあるのだし、翻訳の場合、予めこの原稿の英訳で、と見積りなり訳者選定をお願いしているのですから、瑕疵なき発注側がこんなバカバカしい苦労をするのもおかしな話だし、自分は笑える話でもあると思ってます。

通訳エージェントやコーディネーターなどが通訳業務リテラシーに欠けるのは典型的なこと。良いとは思いませんが、バカバカしいとは思いますし、派遣されてくるプロ通訳者は発注側より、もっと大変だと思います。

自分のことを「優れた通訳者」とは思っておりませんので、他者への正当な批判がそのカテゴリーへの属性に欠けると匿名様が判断しても、問題ではありません。少なくとも日本における評価基準は偏っていますし、何度、できない通訳者との比較において誉められても、うれしいと思ったこともありませんから。

匿名さんは「業界」という言葉を使われていますが、私はそんな広い世界で仕事をしているわけではなく、与えられた業務のなかで接点を持ちながら社内通訳者として経営トップや役員、はたまたグループ本社にとって予算内でできるだけ高い価値と質の通訳/翻訳サービスを(自分の通訳業務も含め)提供するのが使命ですから、特定の選択肢を考慮する段階で「業界」を見渡すことはあっても、実際の業務になれば、案件ごとに受注していただいた会社と担当者さんに要件をクリアにして、通訳者としての知識や経験も活かしながら、という形になります。だから、かなり通訳者思いの発注をしてきたつもりですし、アンフェアなことはないように努めてます。

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2007年06月10日 16:59に投稿されたエントリーのページです。

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